強引専務の甘い手ほどき
「相変わらず、強引なヤツだな。
カエデちゃんに振られたら、どうするつもりだったんだよ」と石神さんが、呆れた声を出す。

「大丈夫だよ。カエデは俺の事愛してるし。」と私の顔を覗く。

いや、そういう問題ですか?
言葉の出ない私に、

「ね。カエデ。
俺は子どもは何人でも欲しいな。
俺の堅苦しい実家とは違う、賑やかな家庭にしたい。」と言ったりしてご機嫌だ。

キサラギさんの中では
どうやら、私との家庭生活がもう、考えてあるみたいだ。

ちっとも
私が悩む必要なんてなかったよ。

キサラギさんの中で私はすでに妻って事だ。

もう、いいか。

私がキサラギさんにふさわしいかは
私が決める事ではない。
付き合い始めてから今まで、
ずっとキサラギさんは私を迷わず愛してくれていた。
強引で、ヤキモチ妬きで
でも、真っ直ぐ私を見つめて、愛を伝えてくれていた。
いつも…

私もキサラギさんをとても愛している。

キサラギさんの腕の中で笑っていよう。

そう、思って、
私は楽しそうにこれからの生活を語る
未来の夫の顔を笑顔で見上げた。
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