強引専務の甘い手ほどき

さらに忙しい冬。

その日キサラギさんは
私が何度も帰るように言ったのに、
親子3人で一緒にいる。
と言い張って、病室のソファーベットに寝て、
翌朝、夜が明ける前に長いくちづけをしてから、自分の部屋に戻って行った。
今日も午後から仕事があるって言っていて、
お正月休みはないみたいだ。
それでも、退院するときには付き添ってくれるらしい。
オトナなんだから、ひとりで部屋に戻れるという私の意見は聞かないみたいだ。
相変わらず、過保護。

やれやれ。

私は自分の体調の悪さの原因がわかって、安心したし、
キサラギさんのそばにいてもいいって事がわかったので、
久しぶりにゆっくり眠る事ができた。

朝食が運ばれて来たけど、やっぱり食欲は出ない。
つわりってヤツなんだろうか?
お正月休みが終わったら、産婦人科に受診しなければ…。

私がボンヤリベットに座っていると、
ノックもせずにドアが開いて、キサラギさんが顔を出し、
「カエデ、あのさあ…」と言っている途中で、
「キサラギ、どきなさい。」
と社長と、水城さんと、
…多分キサラギさんのお母さん(キサラギさんと目元が似ているかな?)
が押し入るように入ってきた。






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