強引専務の甘い手ほどき
「しゃ、社長…」と私が固まると、
「西島くん、キサラギのこどもがいるのか?
いや、キサラギと結婚してくれるのか?」と私にどんどん近づいて来る。

「オヤジ、待てって。慌てすぎだよ。」とキサラギさんが私の前に立ちはだかる。

「社長、落ち着いてください。」と水城さんが落ち着いた声を出す。
「ああ、そうだな。少し、落ち着かないと…。」と息を整えている。

キサラギさんは少し笑った声で、
「さっきも言ったけど、
俺はここにいる西島 楓さんと結婚します。
西島さんが秘書室に6月配属になった時から、好きになって、
口説き落として8月から一緒に暮らしてもらった。
俺は最初から、西島さんと結婚するつもりだったけど、
やっと、結婚すると言ってもらえた。
で、彼女の妊娠が昨日わかった。
だから、直ぐにでも、籍を入れたい。
わかった?オヤジ。」とキサラギさんは真っ直ぐ社長をみた。

「わかってる。…わかってるつもりだ。」と社長は私を見つめる。

「社長、突然こんなことになってしまって申し訳ありません」
と私が立ち上がろうとすると、

「休んでてくれ。…本当なんだね。」と私に聞くので、私がうなづくと、

「そうか。…めでたい」と大きな笑顔を見せた。
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