強引専務の甘い手ほどき
そう?なの。
てっきり、反対されるって思い込んでたんだけど…。

「楓さん。キサラギをよろしくお願いします。」
とお母さんは私に頭を下げ、そっとベットの横に立った。

「わ、私はどこにでもいる普通の娘です。
ルピナスの後継者のキサラギさんにふさわしいとは、思っていません。
で、でも、キサラギさんはそんな私でいいといってくれました。
わ、私はキサラギさんを…愛しています。」とつっかえつっかえ、言うと、

「キサラギが愛していて、キサラギを愛してくれるあなたが
妻になってくれて嬉しいわ。
心配しなくていいの。
大丈夫よ。」と笑いかけてくれ、

「赤ちゃん、大切にしてね。
私も、主人も、孫が生まれるかもしれないって思うと、
興奮気味なの。許してね。」とそっと私の手を取ってくれた。

「ありがとうございます。…反対されるかと…」と私は涙がこぼれる。

「いやーね。反対なんかしないわよ。
仕事ばかりのキサラギを好きになってくれてありがとう。」
とにっこり笑ってもらえた。

「もう、いいだろ。
後は、もう少し体調が戻ってからでいい?
いろいろやる事はあるけど、
籍を入れたら、また報告するから。」とキサラギさんが私の涙を指で拭いって言い、

「楓さんのご両親に挨拶に行かないと…」
とお母さんがキサラギさんの顔を見るので、

「わかってるって。
ちゃんと、挨拶に行くって。」
とキサラギさんは呆れた声を出して、病室から、みんなを追い出した。




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