無愛想天使
「よし着いた!」

そんな声と共に足を止めたのはガラス張りの綺麗なお店で、高校生の私にはまだまだ縁のないような場所だった。

大翔は躊躇せずお店に入って行き、顔なじみなのか店員も笑って会釈をしていた。

レジがあるカウンターで作業している男性に慣れたように注文していた物を取りに来たと伝えた。

「おかしいと思ったら、そういう事ですか…彼女が噂の?大翔さんのお客さんが見たら泣きますね」

ごまかそうとしている大翔をさえぎって、私の事であろうその噂を聞こうと男性に声をかけた。

「あの…噂って?」

私の問い掛けに男性は大翔をちらりと横目で見たあとに、企んでいるような笑みをこぼしながら、話し出した。



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