無愛想天使
「…大翔?」

首を傾げながら、名前を呼ぶと、大翔は男性から顔はそらさず、また来ると一言告げて私の腕を掴んで店を出た。

引っ張られながらも男性に会釈すると、笑って手を振って見送ってくれた。あの表情を見ると、さっきの主語のない質問の意味を分かっているようだった。

少し歩いた所で、大翔は立ち止まり大きなため息をつくと、小さな声で何かを呟いた。

その様子を黙って見ていると、自問自答し解決したのかこちらを見た。

「僕が悪かったよね…」

「…何が?」

理由を聞くと、小さな子供のように頬を膨らませて言った。



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