俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
地味子、ワンコ王子と急接近?
いつもの週末、終業時間まで後一時間辺りとなった頃、桃山さんがやってきた。
「笠原さん、この資料なんですけど、この前笠原さんにお手伝いしてもらったものに、後数ページ足して貰いたいそうなんです。でも、私何処にあるのか分からなくて」
……いつもの資料作りですね。
「分かりました。週明けの朝イチに机に置いておけば良かったですか?」
「はい。よろしくお願いします」
無駄にキラキラした笑顔を向けて、資料を渡された。
いつもの、光景、だ。
恭一は何故かイライラしながらそれを見ていた。
別に俺が頼まれている訳じゃないが、この2週間彼女に付いて仕事を教えてもらっている間、異様に多くないか?
それに、何故にいつも終業間近に言ってくるんだろう。
彼女も彼女だ。
断れば良いのに、いつも引き受ける。
営業の奴等も彼女に頼むことが多い気がする。
なぜかモンモンとしながら、横を見ると、資料を受け取って何か考え事をしているかのような表情で俺を見てきた。
反対に資料を受け取った笠原は、この資料の場所なら恭一も見ておいた方がいいかもしれないと思って、声をかけようとしたらこちらを眉間にシワを寄せて見ていたので何事かとビックリしてしまった。