俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
楽しかった。
そう、楽しかったんだ、私。
金曜日、あんな風に拉致られて、キスされて、抱き締められて、からかわれて。
心臓が破裂するんじゃないかと思うくらい、恭一の魅力にクラクラしたんだ。
貞操の危機も、なんとか乗り気って、手を出さないとの約束はとりあえず守ってくれている。
恭一は本当に私の事を好きでいてくれているんだろうか。
あの甘い言葉に、瞳に、抱き締める腕に、優しさが溢れている。
じゃあ、、、、私は?
こんなに男性と一緒にいたこともなく、彼氏と呼べる人間が居たこともない。
だけどこの2日間、なんだかんだと楽しく過ごせたんだ。
気負いすることもなく、自然に笑えた。
最後まで引き留めようとしていた恭一をなんとか宥めて、夜ご飯を食べてから私は自分のアパートに帰ってきた。
さすがに恭一のマンションから出勤なんて出来ない。
入社当時から住んでいるこのアパート。
見慣れた配置に見慣れた家具たち。
どんなに疲れて帰ってきても、この部屋に入るといつもホッと落ち着いた。
なのに、なんでだろう。
━━━━━━━━少し、、、寂しい。