俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

人も少しずつ出勤し初めて、上司に挨拶してくると、加藤は去っていった。
始業時間が近づき、毎朝の朝礼で、簡単な挨拶を促されている。

「俺、7月からなのに……」
と、ぶつぶつ文句を良いながら前へ出る。

「加藤 幸樹です。2年前までここで戸建て営業してました。本当は7月からですが、川北次長に呼ばれて来てしまいました。有給消化はなのに、、、。7月からは法人相手にグループホームやらせていただきます。宜しくお願いします」


周りでキャアキャア小さく甘い声が聞こえる。昔から加藤はモテた。この当たり前の周りの反応に懐かしささえ覚えて、一人ウンウンと頷いてしまう。

うん。加藤さんが帰ってきたって気がするな。小早川君とは又違った色めきさだ。
今日は設計の三嶋課長に連れられて現場を見に朝から直行しているから、女性社員の黄色い声を独占している。

いやぁ。天晴れ天晴れ。

朝礼も終わって仕事に取りかかる。
今日は…………プレゼンが2件と、新商品が出たからこれのPowerPoint作って、改良分も変更しなきゃね。
会議資料もそろそろ作らなきゃいけないし………。
今月も、もう終わりだ。
今追いかけているお客さまもラストスパートに入っているから、契約書もすぐ作れるようにしておいて、と。

週はじめであり、月末でもある今日は今後の仕事を予想して準備をしておかないと慌てて失敗したらえらいことだ。午後からは小早川君と一緒に会議資料の準備をしなくちゃね。

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