俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

コホン、と、小さく咳払いをして、


「小早川君、今から時間ありますか?資料室一緒に行きませんか。過去の図面が設計の資料室に置いてあるので、どんなときにそれを使うのかとか場所も覚えておいた方がいいと思いますが」

と、声をかけた。


「…………大丈夫です。今すぐ行きましょう」


可愛らしい笑顔を浮かべて妙に急かされて資料室へと急ぐ。

設計の資料室は1つ下の階にあって、階段を使いながら小早川君と歩いた。
ニコニコしているように見えるが何故か無言の圧力をかけられているようで居心地が悪い。
私が何をしたというのだろう。


ズンズンと資料室まで早足で歩き、ドアを開けると私を中へ促し、ドアと鍵を閉める。


「小早川君?鍵は閉めたら駄目です。他の人が入ってこれなくて困りますから」


そう言って彼を振り向いた。
男性としては低めと言われる彼の身長も私からしてみれば充分な高身長だ。
振り向いた先が意外と近く、かなり見上げることになってしまった。

あら。
何かご機嫌ななめ?


「だから、なんで断らないんだよ」

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