俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
気付き始めた気持ち
あのあと、加藤さんからのスキンシップが収まった。華ちゃんに相談して、しっかりお叱りを受けた加藤さんはもう一度きちんと謝ってくれた。
恭一は、まだ納得いかないようだが、私はこれ以上騒ぎ立てる気も起きなかった。
華ちゃんや加藤さんには止められたけど、次の日から私はこけしに舞い戻り、何故かとても残念がられた。
いや、だって、コンタクトは疲れるのよね。
なんとなく嫌な視線や色々言われることはあっても、桃山さんからは何も言われなくなった。加藤さんからのスキンシップが減ったからだろうか。
どうなることかと思ったけれど、日常が戻ってきた。月末さながら毎日残業続きで忙しいけれど、それすらも日常だ。
そんな感じであっという間に一週間が過ぎ、今日で恭一の教育係りも終了する。
彼の教育係りになったときは思いもしなかった恭一とのこの関係はこれからどう変わっていくのだろう。
そして、その変化を私はどう思うのかまだ何も分からなかった。
なんとなく複雑な気持ちを隠しながら、今日の仕事を終業した。
「小早川君、お疲れさまでした。営業事務での研修はこれで終了しますので来月から営業で頑張って下さい」
ペコリと頭を下げて最後の挨拶をした。
最後といっても、私は彼ら営業の裏方のようなものだからこれからもつながってはいくのだけれど。
「はい。こちらこそありがとうございました。これからも宜しくお願いします」
彼のこの笑顔はやっぱり癒される。