俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
おいっ。
話を強制的に締め括られ、仕事に戻らされた。
俺だって、なんでこんなに気にしなきゃいけないのか分からない。
だけど、何故か彼女の後ろに付いて来てしまっていた。
笠原は、過去の資料棚から必要の図面を取り出していた。
あと1つは後ろの棚だった事を思いだし、くるりと体の向きを変えて進もうとしたら何かにぶつかった。
「ぶっっ!」
「あんたさぁ。なんでなんも言わないの?歳は下でもあんたのが先輩だろ?」
終わってなかったのかその話。
低い鼻を擦りながら、目の前にいた壁に文句を言う。
なんでこんなところに居るんだ。
「……あんたじゃなくて、笠原です。それに、隠したいんじゃないのですか?その言動」
「あんたにはもうバレてるしな。疲れんだよ、1日あんなことしてると」
はぁ。とため息をつきながら残りの資料を探しに、小早川君に背を向ける。
「止めたら良いだけだと思いますが?」
「周りから言われるのも面倒くさいんだよ。ああしとけば色々断りやすいしな」
後ろから近づく気配がした。
なんで付いてきているんだろう。
「モテるのも大変ですね。お疲れ様です」