俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
はぁ、とため息混じりで話す。
電話なんてしてないで早く寝た方がいいんじゃないだろうか。
「お疲れさまでした。大丈夫ですか?早くお休みした方がよくないですか?」
「ハッ、大丈夫だよ。久しぶりに杏の声が聞けたのに、そんな寂しいこと言うなよ。話したいのは俺だけか。杏は?寝てたとこ悪かったな、もう一回寝るか?」
疲れているのであろう。
私を気遣っているようで、でも甘えているような恭一の言葉に余裕のなさが見える。
ふいにお昼にしていた華との会話を思い出した。
『杏は彼から連絡が来て嫌だと思う?』
答えは、『思わない』だ。
「小早川君。あのですね、私は、その、『彼女』というものの役割がよく分からないので、うまく役目を果たすことは出来ないと思いますし、今から言うことが合っているかどうかも分からないので不快にさせたら申し訳ないのですが、聞いてもらえますか?」
「あっ?役割ってなんだよ」
「もうっ、話す前から怒らないで下さい。あのですね、小早川君の声を聞いてると、凄くお疲れなのが伝わってきたので、早く寝た方が良いんじゃないのかなと、思ったのは本当です」
「はぁ、、なんだよそれ。もぅいいわ、切るぞ」