俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
目を見開いて私を見た後に眉を寄せて拗ねたように彼が口を開いた。
「名前。そろそろ名前で読んで。やっと気持ちが繋がったのに、名字じゃ嫌だ」
目をくりくりさせてそう甘えてくる仕草にワンコ王子の姿が重なって思わず頭を撫でそうになった。
「いいんですか?……えっと、、、恭一さん?」
顔をあげたまま彼の目を見て名前を呼ぶ。
しかし未だ眉は下がったままだ。
「なんでタメなのに、さんづけ?却下」
「えっと、じゃあ……恭一君?」
「君も要らない」
「それはっ、ちょっとハードルが高すぎますっ」
「仕方ないなぁ。じゃあ君づけでいいや。でもいつかそのままで呼べよ。じゃあ、はい。もう一回さっきの台詞言って」
「さっきの台詞?」
首をかしげて聞き直す。
「ほら、さっきの好きですってやつ」
えっ、、、マジですか。
でも目をキラキラさせて期待を込めた目で見られると嫌とは言えない。
このワンコ王子嫌だ。
「ーーーー。きょ、恭一君。好きです」
ほら、言いましたよ。
これでいいですかっ!なんて悪態つきながら照れ隠しに顔を背けた。