俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
食事をしながら少し気になったことを聞いてみた。
「この週末はご実家は良かったんですか?」
「ああ、明日少し顔を出さないと行けないから今日の夜送ってく。悪いなゆっくりできなくて」
「いえ、それは大丈夫ですけど、ご実家の方で何かあったんでしょうか?大丈夫ですか?」
早々に食事を終わらせコーヒーを飲んでいた小早川君がため息まじりに溢す。
「いや……たいしたことじゃないんだ。離れに住んでるばぁさんが右手を転けて骨折してな。父親は忙しいし、母親も週末だけ習い事とかで様子を見に行かされてんだよ。両親は小さいときから忙しかったから俺もばぁちゃん子だったしな」
「そうなんですね。今日は大丈夫ですか?」
「あぁ。もともと近所にすむ昔っから知ってる奴が見舞いって言って来る予定だったから頼んできた。血は繋がってないが孫みたいなもんだしな」
「そうですか。早くよくなるといいですね」
「そうだな。まぁだいぶ良くはなってきてるみたいだから、そしたら又週末は空くから」
「……はい」
優しく微笑みながら嬉しそうに私をみてくれるその視線が甘くて蕩けそうだ。
それを素直に嬉しく思えて、私も一緒に居たいと思うから不思議だ。
彼の気持ちがまっすぐ私に届いているこの心地よさと、それに対して素直に気持ちを伝えれる安心感が心を満たしてくすぐったい。
あぁ、幸せかもしれない。