俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

夕方、彼が実家へ戻るギリギリまで一緒に過ごした。

ぎこちない動きの私をからかいながら、二人ソファーに座り寄り添ってじゃれ合った。

一線を越えた後の甘い空気をたっぷりと味わいながらことあるごとにキスをした。
こんな時間を過ごしていたら心臓が持たないかもしれない。

夜、自宅まで送ってくれた彼との別れに一抹の寂しさを感じながら笑顔で見送った。
一緒にいると心臓が暴れて苦しくなるのに、離れると寂しくなって会いたくなるなんてなんて我が儘なんだろう。

あれもこれも付き合いたてのカップルにはよくある盛り上がりだと言うのに、一切経験してこなかった杏にとってはそんな我が儘な自分に軽く自己嫌悪に陥ってしまう。

明日はゆっくり部屋の掃除でもして、気持ちを切り替えなくっちゃ。
月曜日からお仕事できなくなっちゃう。