俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

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自分の気持ちとは裏腹に小早川君の婚約は瞬く間に社内に広まった。

周りからは色々言われているようだが、直接的に聞いてくる人も居らず、そして彼が私に絡んでくることも日常であったので特に変わることなく日々が過ぎていった。

噂を聞いた華ちゃんから責めるようなお叱りの問い合わせもあり、納得することは出来ないながらもなんとか話は聞いてもらえた。

社内や外だと誰に聞かれているかわからないので、まだ週なかばではあるが華ちゃんと我が家でお泊まりデートだ。


「意味はね、分からないでもないわよ?だけど、納得できるわけないじゃない!なんで杏が我慢しなくちゃいけないのよ。本当にいいの?」

考え直すなら今よ!
なんて息巻いて話す華ちゃん。
心配してくれる友人に気持ちも温かくなる。

「あのですね。小早川君って昔は不真面目な事も多かったらしく、色々やらかしてきたみたいなんです。で、本人もそれが分かってて、思い詰めちゃいそうな子とは避けたいときにその幼馴染みの彼女に頼んで彼女役をしてもらってたみたいなんです」

「はぁ?」

「幼馴染み本人とは本当に何もやましいことはないって言ってたんですが、過去に色々助けてもらってた手前断りきれなかったみたいで……」

「……ばかだね」

「ですよね……。でもまぁその辺りの話もちゃんと謝罪しながら教えてくれたので、暫く様子見で落ち着きました」

はぁっ。
と、呆れるしかないその説明に華ちゃんも言葉が出ないようだ。
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