俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

少しの残業で今日のお仕事終了。
デスク回りの片付けをしてマイコップを洗うべく給湯室へ行くと、数人の話し声がした。

「ねぇ。今日も加藤さんと笠原さん一緒に居なかった?」
「いつまでつきまとってるんだろ。小早川君が駄目になったら加藤さんに戻るってこと?」
「加藤さんが相手にするわけないじゃない」

聞こえてきた声の1つはやっぱりと言うかなんと言うか、私を否定する桃山さんの声だった。
本来ならば一言もの申したい場面ではあるが、なんとも説明しがたい私の立ち位置に踵を返すしかなかった。

でも、ああやって言われるってことは彼女たちの仕業なのだろうか。
いや、駄目ね。
憶測で疑うのはよくない。

小早川君の幼馴染みの彼女と連絡がとれないとかで週末に話してくると彼は言っていた。来週になれば少しはマシになるかもしれない。

給湯室へは時間をずらして行くことにして、急ぎではない仕事で時間を潰すためにデスクに座り直した。
心の中がもやもやする。


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