俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
晴れない気分のまま仕事を終わらせて自宅へ帰ってきた。
このもやもやを華ちゃんに聞いてほしかったが、ロッカーの出来事を話すわけにはいかなかった。これ以上小早川君の事で心配させるわけにはいけない。
……違うな。
小早川君の評価を下げたくなかった。
確かに過去はどうしようもないことをしていたかもしれないが、今私にたいしては大事にしてくれていると思う。
全く持って私には分からない世界だし嫉妬しないとは言い切れない。でも、過去のことだからと謝って私だけだと言ってくれた。それを見極める経験値など私にはないけれど、その言葉が嬉しかったんだ。
それだけで信じれると思った。
私が信じると決めたんだからそれで良かった。
だけど、ほっといてくれない周りの騒がしさに不安な気持ちが芽生えてきたのも本当で。
そのどうしようもない堂々巡りの思考にたった一週間で音をあげそうだ。
今週は疲れちゃったな。
もう何もしたくない。
熱めのお風呂に入ってゆっくりしようかな。
普段そこまで長湯をしないけれど、今日は気分をスッキリさせようとお湯に浸かって逆上せるほどお風呂に入った。
ふらふらになりながらお風呂を出て、一気にお水を流し込む。
ぷはぁーーーーーーー!!!
よしっ!
なんかスッとした。
タオルでゴシゴシしただけの頭でベットに倒れ込み、このまま寝てしまいたい……と目を閉じた。