俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

「恭一」

「つ,……恭一君、はお仕事ですか?」

「フッ、いや終わらせた。だから、開けてくれないか?」

何を?と思った時に家のインターホンが鳴った。

ピンポーン

と、響く音に恭一君に断りを入れて。

「すみません。家のチャイムが鳴ったのでかけなおします。宅配かな?」

「ククク。分かった」

こんな時間に配達なんて始めてかも。
はーーい。と、チャイムに返事をしながらドアを開ける。

「すみません。遅く……な?」

「クク、お届け物です?」

「何を?」

「俺?」

そういう恭一君の顔は楽しそうで、一気に気持ちが浮上するのを感じた。

部屋の中に招き入れ、靴を脱ぎ目の前に居る彼を見つめながら顔が緩んで抱きつきたくなる衝動に駈られた。

「こ……、恭一君。お疲れ様です。ちょっと手を広げてください」

「は?」

いつものソファーの前に立つ恭一君の手を持ち、勝手に広げて『こうして、こう』と、横に広げさせた。
そしてそのまま抱きついてスーツに顔を刷り寄せ目を伏せる。
はぁ……落ち着く。

突然の私の暴挙に体がビクリと固まるのが分かった。それでもすぐに腕を回して体を抱き締めてくれた。

「なに?寂しかった?」
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