俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

「うーん。寂しくは無かったんですが……会いたかったです」

ぎゅっと腕に力が入った。

「……お前それ計算?すでにちょっとやばいんだけど」

「計算?なんの計算ですか?」

刷り寄せたほほをぐりぐり押し当てて、『甘えていいですか?』と問いかける。
お風呂上がりだし、押し当てても化粧がつくわけじゃないし思いきりくっつきたくなってきた。

「えっ。何この可愛いの。酔ってる?」

「いえ。飲んでませんが。なんだかくっつきたくなったんです。駄目ですか?」

「おい、マジか。お前のパーソナルスペースに入るとこんなんなんの。狂暴すぎる」

なんだそれ。
とりあえず、ソファーへ腰かけて横からタックルのように抱きついた。

『うわっ、』と、声を出しながらも私をなんとか支えて頭を優しく撫でてくれた。

「どうした?何かあったか?」

あったといえばあったが、それは恭一君に言うことじゃあない。頭を横に振りながら「ただ会いたかっただけです」と口にした。


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