俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
そう言うと恭一君は嬉しそうにこちらを向いた。
こーゆうところワンコ王子健在だな。
手を伸ばして頭を撫でてみた。
「おい、ちょ、何やってんの」
「いや、何か可愛く思えて。さすがですワンコ王子様」
「意味わかんねぇし。杏に撫でられるなんてなんか屈辱なんだけど」
手を退かされて言葉とは裏腹に照れたような様子を見せる。
「えっ、嫌ですか?私、恭一君にしてもらうの好きですよ?」
「っ、……嫌じゃないから困るんだよ」
尻すぼみに声が小さくなっていって、小さなため息がひとつ。彼の精一杯の強がりだと思うと可愛くて堪らなくなった。