俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

そう言うと恭一君は嬉しそうにこちらを向いた。
こーゆうところワンコ王子健在だな。
手を伸ばして頭を撫でてみた。

「おい、ちょ、何やってんの」

「いや、何か可愛く思えて。さすがですワンコ王子様」

「意味わかんねぇし。杏に撫でられるなんてなんか屈辱なんだけど」

手を退かされて言葉とは裏腹に照れたような様子を見せる。


「えっ、嫌ですか?私、恭一君にしてもらうの好きですよ?」

「っ、……嫌じゃないから困るんだよ」

尻すぼみに声が小さくなっていって、小さなため息がひとつ。彼の精一杯の強がりだと思うと可愛くて堪らなくなった。




< 194 / 246 >

この作品をシェア

pagetop