俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

月曜日は朝から出張だから、と言うのでそのまま帰るかと思いきや私のアパートに押し掛けて朝方帰っていった。

「付き合いはじめの浮かれたこの時期にせっかく会えたんだから」と、可愛い事を言って。


恭一君の凄いところはちゃんと言葉にしてくれる所だ。まぁそれは『察してほしいなんて高度な技術、杏には求められない』からだそうだけど。
良いところも悪いところも全部見せてくれる恭一君の誠実な態度は無条件に信用に値するもので。


周りの人に惑わされず、後一週間頑張ろうと思えた。

月曜日の朝、願いを込めてロッカーのドアを開ける。

荒らされた様子のないロッカーに安堵のため息を吐いて、自分のデスクに向かう。
この週末の幸せな時間に浸りながら、ロッカーも無事だったりと足取りが軽い。

単純だなって、思う。

凄いな、恋愛って。

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