俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「はい、ちょっと手間取ってしまって。でもちょうど終わったところです」
データー紛失のことは避け、でも嘘は言ってないからと誤魔化した。
「そっか、良かった。俺も今から接待で泊まりになったんだ。何かあってもすぐに行けないから気を付けて帰れよ。家についたら連絡がライン入れること」
「はい。大丈夫です。恭一君も気を付けて」
どかまでも過保護な恭一君に疲れた体が癒されて、うん。元気でた。
ロッカーから鞄を取り出して携帯を見ると恭一君からの連絡が4件入っていた。
『接待で泊まりになった』
『もしかしてまだ仕事?』
『これ見たらラインじゃなくて電話入れて』
『何かあったか?』
最後のラインから10分後くらいだよね会社の電話受けたの。
心配しすぎ。
少し遅くなったけど、まだ21時過ぎ。
今までもこれくらい遅くなったこともあるのに。
『今から会社を出ます』
そうラインを入れて会社を出た。
朝から色々あったけど、恭一君のお陰でモヤモヤも吹き飛んだな。
やっぱり恋愛って凄い。
地下鉄に向かって歩いていると声をかけられた。
昨日聞いた、小鳥のような可愛い声で。
「こんばんは」