俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「でもね、私は別にそんな事望んでいる訳じゃないのよ。だって、私は恭一が好きなんですもの。桃山君がきちんと分かって貰えたらそれで良かったの。だから恭一に頼んで婚約者になってもらったの」
「えっ…………」
「桃山君のお姉さんと、恭一が同じ会社だなんて本当に偶然ね」
「っ、………………」
「桃山君のお姉さんの話だと、恭一の自称彼女がいるらしいって話は聞いていたの」
ごくりと唾を飲み込む。
店内には何組も席に座る人が居て、BGMもかかっているはずなのに、私の頭の中にはキヨさんの話し声しか聞こえなかった。
「今日みたいなことが又あると、恭一の仕事にも影響があるといけないわよねぇ。彼はこの先小早川建設に戻ってもっと大変になるわ。こんなところで失敗している場合じゃないの。分かるかしら?」