俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※


「話してもらうわよ。何があったの?」

定時ちょうどに内線が入り華ちゃんに強制終了された。
お昼も頑張ったお陰で終われそうだ。

朝から何度か恭一君からのラインが入っていたけれど、まだうまく話せない。

『考えたいことがあるので少し時間を下さい』
とだけ返信しておいた。
だってまだ感情が先走りしすぎて説明できないもん。

ご飯を作る気にもなれず、自宅近くの中華屋さんでテイクアウトしてきた惣菜とビールを並べて華ちゃんとテーブルを囲む。

今更ながら朝の取り乱した姿を思い出すと恥ずかしい。あそこまで泣かなくても良かっただろうに私。


「朝から今日は心配かけてしまってごめんなさい」

「そんなことは良いの!どうしてあんなことになってるの。昨日の夜のアリバイも、もしかしたら関係あるの?」

コップにビールを注いで華ちゃんが一気に煽る。

「実は、木曜日と金曜日もロッカーに悪戯されていたんです」

「はっ!?なんで言わなかったの?」

「被害というほどの事もなくて、誰の仕業か分からない気持ち悪さだけで地味に困ったくらいだったんです」

「何されてたのよ」

「木曜日は買い置きのパンストが破られてて、金曜日はシュレッダーのゴミがぶちまけられてました」

「うわ……」

「どっちも静電気でロッカーに貼り付いちゃって片付けるのが本当面倒臭かったです」

「そうね。それは地味に堪えるわね」


< 212 / 246 >

この作品をシェア

pagetop