俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
強く言い切られ、でもまぁそうなんだよなぁと考え込んでしまう。
キヨさんの話を聞いていない華ちゃんが即座に桃山さんと言いきってしまうほど、他に思い当たる人が居ない。
「それで、今日のあのシャツね。で?まだあるでしょ?杏があんなに取り乱すことなんてないじゃない」
怒りすぎてお腹すいてきたわ、と華ちゃんが惣菜に手を伸ばす。どうしよう。キヨさんの話をしたら華ちゃん恭一君に怒鳴り込みにいくかもしれない……。
そんな勢いっていう感じなだけだけど。
「あの、で、これからが本番なんですけど、華ちゃん、落ち着いて聞いてくださいね」
ん?と視線だけ私に向けてテーブルに肩肘つけてビールを飲んでいた。
やさぐれてる……。
「日曜日に恭一君の幼馴染みの彼女に会ったんです。あっ、恭一君も一緒にですよ」
「あぁ、あの婚約者役の彼女ね。なんで会う必要があるわけ?」
話が長くなるんですが、と前置きをして週末の出来事を話し出した。