俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
ここまでを一気に話すと華ちゃんは今すぐ恭一君を呼び出せと言わんばかりに携帯を取り出した。
「小早川君にはちゃんと言うんでしょうね。その幼馴染みの一方的な態度に遠慮するとか杏が身を引くとか、一昔前の少女漫画じゃあるまいし、二人のことはきちんと話し合わなきゃだめでしょう?」
優しく諭すように微笑みながら、華ちゃんは携帯をいじり、じゃあ「今から呼ぶから」ととんでもないことを言い出した。
「は、華ちゃん、待って!待ってください!」
慌てて華ちゃんの手から携帯を引き抜き画面を除く。番号を呼び出していただけでまだ着信していなかったことに安堵する。
「何で止めるのよ」
あからさまに不機嫌に口を尖らせる華ちゃん。そんな顔もステキ。
じゃなくて、
「まだ聞いてほしいことがあるんです」
むしろこっちがメインです!と華ちゃんに携帯を返して向き合った。
「今お話したのは今日までの出来事です。で、今から聞いてほしいのは私の愚痴なんです」
「愚痴?」
「改まってお話しするのもちょっと恥ずかしいんですが……今回の件で私なりに思ったことを聞いてもらえますか?」
クスリと優しく笑い、華ちゃんは「もちろん」と言ってくれた。