俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
今度は酎ハイにしようと、冷蔵庫から2本取り出して華ちゃんに1本渡した。
勢いのまま飲み続けているが、私大丈夫だろうか。
前髪も邪魔になってきた。
ポンパドールで纏め上げ、ピンで止めた。
「ロッカーにされた最初の悪戯は、言ったようにそこまで気にしてなかったんです。モヤモヤする気持ちは確かにあったんですがそこまで強くはなかったんです。だけど、日曜日にキヨさんに会って何とも言えない気持ちになっちゃって……」
目を伏せて思い出すように話す。
「彼女の言い方の節々に、恭一君との仲の良さを強調していて、私とは違うと裏に隠された嫉妬のようなものを受けました」
「例えば?」
そう聞かれてカフェで会ったときに言われた一言を思い出す。
「えっと、昔からずっと一緒に居たとか、昔から助け合ってきたとかですかね」
「うわっ、面倒臭そうな女」
「外見もお人形さんみたいで本当に可愛くて、恭一君と二人並んでいると凄くお似合いでした。それをキヨさんも分かっているから、次に待ち伏せされたときに私とキヨさんとどちらが似合っているか一目瞭然でしょ?とも言われて……」
二人が並んだ光景を思いだし段々声が小さくなってしまった。
駄目だ。
こんなことでネガティブになっちゃ駄目。そんな事は分かってた事じゃない。
コップに注いだピーチ酎ハイを一気に飲み込む。
「過去に色々恭一君が遊んできた武勇伝も聞きました。でも、色々あっても最後は私のところに戻るとキヨさんが言うんです。…………私もその色々の一人なんでしょうか」