俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
堪えきれないように華ちゃんは笑い続ける。華ちゃんの中で恭一君の評価は散々だろう。
「そもそも今回のことは、キヨさんは恭一君が好き。
で、キヨさんの中ではいずれ恭一君と私は別れて自分のところに戻ってくる。
と思っているわけですよ。
で、ですよ!そう思った経緯は過去の恭一君のフシダラな生活が根本にあるわけで、私としてはとばっちりを受けている感がバシバシするんですが、どう思います?華ちゃん!」
手にもっていたコップの酎ハイを勢い余って全部飲み干してしまった。
ダン!とテーブルにコップを置き、崩れるようにソファーへ上半身を預け寝た。
「恭一君が大事にしてくれているのも分かります。
心配してあれこれ言ってくるのもありがたいと思ってます。
だけど、昨日理不尽に色々責められて悲しくなって、モヤモヤしているときに帰りが遅かったとか連絡してほしいとか言われても昨日は素直に謝れなかったんです」
華ちゃんは私の隣に来てくれて項垂れてボソボソ話す私の頭を撫でてくれた。
「それで昨日連絡しなかったのね。ふふふふ。いいじゃない。たまにはあの俺様を振り回しちゃいなさい」
「…………キヨさんみたいに可愛かったらもう少し自信が持てるのかな」
ポツリと口をついた台詞は、今まで考えたこともないような自らの変化への希望だった。自分の地味な容姿に対して恥ずかしいと思う感情も他人を羨む感情も今まで思ったことがなかったが、恭一君とキヨさんの二人が並んだあの光景が忘れられなかった。
羨ましかった。
「可愛く、なりたいな…………」
初めて思った。