俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
相変わらず目を引く容姿をして周りの視線を当然のように集めているキヨさん。
本当に可愛いな。
「本日はありがとうございます。ごゆっくりお楽しみください」
分かっていても少しだけ痛む胸。
ため息を付きたい気持ちを押さえてお土産を渡す。
「あ、あぁ。ありがとう。いただくよ」
恭一君より少し低めの声で優しそうに微笑んでくれた。
恭一君のようなクリクリお目目じゃないけれど、笑うと目尻が下がりニコチャンマークのように綺麗な弧を描いていて。
ほぅっ、と見とれてしまった。
「杏?親父のこと見すぎだから」
少し苛ついた恭一君の言葉にハッとして、チラリと恭一君に視線を合わせると、隣のキヨさんが目を見開いてすぐに眉間にシワを寄せていた。
「き、恭一君?見とれるなんて……き、気のせいですよ?えへ」
とキヨさんの視線に気づかないふりをした。
意を決してキヨさんに視線を合わし挨拶を交わす。
「キヨさん、こんにちは。本日はありがとうございます」