俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

落ち着かない気持ちのまま、時間だけが過ぎていき気付けばあと少しで21時になろうとしていたところだった。


あぁ。
緊張がピークになってきた。
そろそろだよね……


ベット横の一人掛けのソファーに靴を脱いで体育座りをして皆を待つ。
チラチラと携帯の時計を見つめて、ため息を付く。
それの繰り返しだ。


コンコン、と部屋のドアを叩く音がした。
分かっていてもドキンッと胸が高鳴って慌ててドアを開けに行く。
すると、柔らかい笑みを浮かべた恭一君がキヨさんを連れて部屋へ入ってきた。


「お待たせ。一人で大丈夫だったか」
「はい」

微笑みあい、視線をずらすと驚愕の表情をしているキヨさんと目があった。


「……恭一?どういうこと?」

わなわなとその青い綺麗な瞳が怒りで揺れている。

「あぁ、悪い。話があって」
「二人じゃなかったの!?」
「杏に誤解されるような事はしないよ」

「…………帰る!」

クルリと踵を返して部屋を出ていこうとすると、もう一度
コンコン、とドアをならす音がした。

思わず歩を止めて振り替えるキヨさんの横をすり抜けて、恭一君がドアを開ける。


入ってきたのは、加藤さんと桃山さんだった。


「えっ!?小早川君?」

驚いた桃山さんの声と中に入るように促す加藤さんの声がして、私とキヨさんを確認すると桃山さんの顔が一気に青ざめた。
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