俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「な、何よこれ!加藤さん!どういうことですか!?」
騙すようなことをして申し訳なく思いながらも二人と対面して趣旨を話す。
「突然申し訳ありません。お時間を頂けませんか?」
私がそう話すと、ビクリと肩をあげた桃山さんがドアに向かって帰ろうとした。
「私は話すことなんて無いから。帰ります」
ドアの前には加藤さんが居て、桃山さんに向かって首を左右に振る。
「はっきりさせようぜ」
加藤さんの強い視線に桃山さんの動きが止まった。
今まで黙っていたキヨさんが徐に口を開く。
「何?恭一は私に謝らせたら満足なわけ?」
誤魔化しも弁解もせず、自分の立ち位置を理解して恭一君に向き合った。
恭一君が私の隣に立ち、私の肩を抱く。
キヨさんの悲しげな目が胸に刺さる。
「キヨ……悪いが俺はお前と付き合うことはない。お前が過去にも色々やってきたのも知っていたが、杏の事は違う。手を出すな」
「……っ、何よ。何が違うのよ!ずっと一緒だったじゃない」
「お前の事は身内としか思えないんだよ。だからキヨと付き合ったりとか想像もできない。お前の事は身内として大事だった。だけど、今回の事はやりすぎだ。関係ないやつを巻き込むな!」