俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
恭一君に強く怒られて、キヨさんの目に涙がたまる。
こんなときなのにそれが余りにも綺麗で、キヨさんから目が離せなかった。
シンとした空気の中、ドアを叩く音がする。
ドアの前に居た加藤さんが、ガチャリと開けて華ちゃんを招き入れた。
スラリと背の高い優しそうな男の子を連れて。
「光希!」
桃山さんの驚いた声にキヨさんがビクリと肩を揺らす。
「なんで、こんなところに!ちょっと、光希まで連れ出してどうするのよ!?」
桃山さんの声を無視して、私の前までくると光希君は勢いよく頭を下げた。
「今回は、姉がすみませんでした!」
あっけにとられてすぐに反応出来ずにいると、恭一君が「杏、」と促してくれた。
「あ、あの頭をあげてください。大丈夫ですから」
「ちょっと、光希!」
光希君は頭をあげて、桃山さんを睨みながら怒鳴り付けた。
「姉ちゃん!何やってんだよ!俺ストーカーなんてしてないって言ったじゃねぇか!人の話も聞かずに人に迷惑かけてんじゃねぇよ!最低だぞ!」
「……っ、な、何言ってるのよ……」