俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

「やってられないわ。帰る。
━━━━━笠原さん、ごめんなさい」


最後までピシリと背筋を伸ばして、キヨさんが帰っていった。帰り際華ちゃんと何かを話して。




「さっ、私達も帰りましょう。加藤くん、行きましょうか?」
「だな」

「華ちゃん!加藤さん!本当にありがとうございました!」

頭を下げてお見送りをする。
「杏、」と華ちゃんが耳元に口を寄せて内緒話のように小さい声で話してきた。

「杏、男の人はね、エッチの時は誰でもキス魔になって、抱き締めてくれるものよ。ちゃんと小早川君に確認してみなさい」

ボンッ、と一気に顔に熱が溜まり赤くなるのが分かった。

「は、華ちゃん。ど、どうしてそれを!」

「ふふふ。さっき水守さんが嘘ついてごめんなさいって言ってたわよ」

「キヨさん……」

じゃあね、と二人とも帰っていって妙な静けさが部屋を包む。
< 244 / 246 >

この作品をシェア

pagetop