俺様御曹司による地味子の正しい口説き方


ふふっと声が出て、
「なんか疲れましたね」

恭一君と顔を見合わせて、二人でベットに並んで座る。

「何か飲みますか?」

もう一度立とうとすると、恭一君に腕を捕まれて抱き締められた。

「ずっと、こうしたかった。……はぁマジで杏可愛すぎる。会場で見た瞬間から押し倒したくて仕方なかった」

「なっ、何言ってるんですかっ、」

恭一君の胸に顔を押し付けられ、落ち着く筈のその腕の中でドキドキ胸が煩い。

「杏、なぁもう一回言って、さっきのやられたわ」
「えっ?さっきの?」
「俺、お前に何回落とされたらいいんだろ。堪んない。死ぬほど嬉しい口説き文句だろ」
「私何かやりました?」

胸から顔を出して、甘さを隠そうともしない恭一君の範囲気に顔が真っ赤になる。

「もう一回言って、杏?俺は、誰のもの?」

「!!」

私の頬をやわやわと触りながら続きを促してくる。

「杏?」

あぁ。もう駄目だ。
逃げられない。

「き、恭一君は……私のものです」

嬉しそうに笑みを浮かべて、恭一君の顔が近づいてくる。
それに答えるように目を閉じて、彼のキスを受け入れた。


「これからはこのキスは私だけのものですよ」


そう約束させて。







おしまい
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