俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
ワンコ王子は地味子に戸惑う?
『今日ランチ行くよ!』
朝から入ってきた社内メールは、同期で唯一仲良くしている秘書課の川嶋 華(かわしま はな)ちゃんからだ。
月に何回か、華ちゃんの休憩が私達事務員と同じような時間に取れるときにはこうやって連絡が来る。
それはいつも突然で、大抵お弁当を持参している私は社食で待ち合わせて一緒に食べることになる。
『了解です』
簡潔にメールをやり返し、いつものようにお昼は社食でとることになった。
いつもはランチの時間になり社食まで行くとすでに華が席に着いて待ってくれている。
そろそろかと時計を見て、小早川に昼休憩へと促す。
いつもならそのまま自席でお弁当を広げるのだが、お弁当をもって移動しようとする私に小早川君が首を傾げる。
「何処かに行くんですか?」
可愛らしいその仕草に、作り物と分かっていても頭を撫でたくなる。
「……今日は社食で食べます」
そう言った直後、呼ばれる声がした。
「杏ーーーー」