俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
小早川君の元に付いて、4週間がたった。
一緒に仕事をするのも後2週間ほどだ。初めて華とランチを一緒にしてから、何故か日常的にお昼を一緒に食べるようになった。
とはいえ、デスクが元々隣なので一緒に自席で食べるだけなのだが、2回ほど華と時間が合い社食へ行くときも、当たり前のように彼は着いてきた。
何故か華も、小早川君が居るのが当然のように社食の席を1つ多目に取ってくれていた。
お互い似た者同士、楽なのかしら?とのんびり杏は思った。
小早川は、あの杏の素顔を見たときから何度となく杏を見るようになった。
見初めて分かった事は、こけしのような風貌であっても、丁寧な言葉使いに、仕事ぶり、ニコニコと愛想が良いわけではないが、嫌な顔もすることなく、仕事を受けてくれる杏は周りからの信用も厚く、営業の多くに可愛がられていた。
以前から、仕事をよく頼まれているとは分かっていたが、桃山のような無茶を言う人は少なく、杏の仕事ぶりを見て頼んでくる人が殆どだった。
小さい体でちょこまか働くその姿は小動物のようで、こけしのようなその髪型も、大きなその黒渕眼鏡も、見慣れてしまえば愛嬌があって、可愛らしくも思えてきた。