俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
慣れって凄いな……。
あれを可愛い……ハッ!?可愛い????
可愛いとかありえねぇだろ。
こけしだぞ?
こんな感じで、ここ最近の小早川は、杏の事で自問自答してばかりだ。
はっきり言って、女にチヤホヤされながら、不自由したことも、面倒な事になったことも無かった。
自分の見た目を充分に熟知して、ニコニコ可愛い系で計算しながら上手くやってきたつもりだ。
自分で色々根回ししたことも、しようと思ったこともなかった。
いつも受け身のされる側だったからだ。
見た目からか、世話好きな女が多かった。
杏を見ているとイライラするようになった。
キャパオーバー気味な仕事量でも平気で受け入れて、毎日殆ど残業だったり、重たい資料も、明らかに体型オーバーな荷物をヨロヨロしながら運んだりする。
お茶出しに、お礼状、資料作りに、資料実の片付け、パワーポイントのフォーマットなんかも気づいたら杏が作っていた。
だけど、まだ新入社員の研修中でしかない俺に頼ることなんて杏はしない。
だから、今までの仕事を見てきて、次に杏が何をするのか先回りするしかないんだ。
……って、だからなんでこんなに必死なんだよ俺は。