俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
日替わり定食を持って、先に席に着いていた杏のもとへ向かう。
途中、同期の女の子達につかまった。
「小早川君。良かったら一緒に食べない?先輩達とずっと一緒だと疲れるでしょ?休憩時間まで拘束されるって大変ね」
上目使いで媚びるように話す女の子は、自分の使い方をよく分かっている。きっと、話し方から角度まで、自然に見せかけた計算高い女子力を発揮している。
俺はそんな女の子も嫌いじゃなかった。
だって、俺にかわいくみせたくたくて頑張っているんだ。
可愛いじゃないか。
「ありがとう、だけどごめんね。先輩方には僕が無理言って一緒させてもらっているんだ。いろんな話が聞けて勉強になるからね。声をかけてくれてありがとう」
にっこりと名前も覚えてない同期に微笑み返す。こう言っておけば杏の株も落ちないだろう。
「じゃあ、今度の同期会にも良かったら参加してね。皆待ってるよ」
計算高い女の子ほど引き際を分かっている。下手に食い下がって、自分の印象を下げたくないからだ。
「うん。ありがとう」
目尻を下げて、踵を返す。
はぁ、面倒臭ぇ。
ガタンと椅子を引いて、杏の横に腰かける。杏はこちらを向くこともなく、華との話に夢中になっている。
俺が女の子と話してても興味なしかよ。
チラリと華から視線を感じる。
優越感を含ん視線に舌打ちをしたくなった。