俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「ただの同期よ」
社食を出て、杏と別れて華と二人休憩コーナーにやってきた。
「ただね、加藤はよく杏の事を構ってて、可愛がってたのよ。加藤も社内ではモテる方だったから杏も多少やっかまれててね」
「へぇ……男女の色恋的な可愛がり方?」
「気になる?」
「…………別に」
「素直じゃないわね」
クスクス笑いながらも華は、そうね、と答えてくれる。
「かなり可愛がってはいたけど、妹みたいなペットみたいな、たぶん色恋的なものでは無かったと思うわよ。…………杏がどう思ってたか知らないけどね」
「…………なんだよそれ、、、」
相手どうこうよりも、杏本人の気持ちがそれならばもっと太刀が悪くないか?
「知らないわよ。でも、あんな構われ方されてたら悪い気はしないわよね。それくらい一緒にいることが多かったから勘違いされることも多くて、だから杏も色々言われてたのよ」
「でも、相手は違ったってか…………」
「『妹みたいで女として見れない』ってはっきり言ってたからね」
「…………はぁ?なんだよそれ」
なんだその加藤ってやつ。
俺には関係ないはずなのに苛立ちが止まらない。