俺様御曹司による地味子の正しい口説き方


「……まずは。謎解きをしようか」


そういうと、ガチャリと車から降りて、助手席のドアを開けてくれた。
降りるように促され、素直に従った。
6月も終わりに近付き、風も大分生ぬるくなっていた。
潮の匂いがする。


されるがままに恭一に手を引かれ、歩かされた先に海が見えた。


「うわぁ、、、もう、レストランの近くなんですか?」


今日、華と行く筈だったレストランは堤防沿いにある人気のイタリアンだ。
予約も取りにくく、今日のために杏は半年も前から予約していたのだ。


「そう。今日はオレと行くぞ。それは、分かったな?」

「はい」

「じゃあ、食事しながら話そう」


握られた手を離すことなく恭一は歩き続ける。ゆっくりと、私のペースに合わせて。
慣れないピンヒールは足元を覚束なくさせる。繋がれた手で支えられているようだ。

凄い。
モテる男は何をするにもスマートなのね。

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