俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
席に着いて、メニューを渡されることなくギャルソンが去っていく。
不思議そうに見ている恭一に、杏が口を開いた。
「今日は、最初からコースを頼んであるんです。ドリンクも余り飲めないので、断っておいたんです。華ちゃんが飲むならここで頼めば良いと思っていたので」
なるほど。
「お待たせいたしました。バースデーコースの前菜となります」
恭一が目を見開いて杏を見る。
「バースデーコース?お前誕生日なのか?」
「はい。今日は、私の誕生日なんです」
照れ臭そうに杏が笑う。