俺様御曹司による地味子の正しい口説き方



新年度が始まって最初の1ヶ月半はあちこちの部所を回されて、そのあと各自配属先で基本的なことを事務員から教わる 。

それは彼も同じだ。

今はまさにその期間で、始まってまだ2週間目の5月下旬。後6月いっぱいまでは嫌でも私とペアにならなければいけないのだ。

出来るなら円滑に終わらせたい。


「驚き方に問題でもありました?」


昔から揉め事は嫌いだ。
特に主張したい意地も持ち合わせない私は人に合わせて隠れるように生きてきた。

私が主張したところで何も変わらないけどね。想定内だ。


パソコンの電源を落とし、時刻は20時前。
意外とかかってしまった。
お腹すいた。


「遅くなってすみません。明日から待たなくて結構ですからね」


荷物をもって、彼は私の隣にある自分のデスクへ凭れて腰かけている小早川君に先輩らしく振る舞ってみた。
御曹司様と言えども後輩は後輩だ。

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