俺様御曹司による地味子の正しい口説き方


「そういや、今日はどんな企画だったんだよ。そんな着飾って、、、」


可愛すぎるだろ………………ぼそりと言った最後の一言は恭一の中に飲み込まれた。

そうなのだ。
今日のコンセプトは『大人デート』なのである。


「前に、華ちゃんと話してたんです。『大人デート』に、憧れてるって。めーいっぱいお洒落して、頭から爪の先迄磨かれた格好で、素敵なディナーをしたかったの。だから、誕生日の今日は『大人デート』日和なの」

うふふと話す杏の口調がやけにフランクになってきていた。


「だから、いっぱい残業して、お金貯めて、全身コーディネートして貰ったの。スッゴい高くてビックリしちゃった」


クスクス笑い続けている。
酔って、、、きたか?


「でも、色々手を加えてもらって、変わっていく自分を見ているのも凄く楽しかった!小早川君のお陰で『大人デート』も疑似体験出来たし、本当にありがとう」


無防備なその笑顔に、身体中の理性を総動員させる。
頼むから、そのギャップ萌えやめてくれ。
恭一の悶える苦悩を知りもしない杏はふにゃりと笑い続ける。


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