俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「あのっ、、私お会計がまだっっ!!!」
腰に手を回されながら、ギャルソンが深々と頭を下げる間を歩いていく。
慣れないヒールと、お酒の力も借りて、覚束ない足元を支えて貰わなければ歩けないほどだ。
「杏、いいから。誕生日なんだろ?黙って払われとけ」
「い、、いやでもっっ」
「『大人デート』なんだろ?いい女はありがとう。って言うだけで良いんだよ」
頭を撫でられながら、優しく諭された。
回る頭では深く考えられず、撫でられた頭が気持ち良くて、されるがままだ。
少し酔いを覚まそうと、堤防沿いを歩くことにした。
今までは座っていたから分からなかったが、立って歩くと上手く歩けなかった。これはかなり酔っているみたいだ。
「ごっ、、ごめんなさい。上手く歩けない…………」
腰を支えてくれる手に体を預け、スーツを少し握りしめてしまった。
ふわふわする頭をなんとかしっかりしようと頭を小さく振ってみたら、目が回る。
「……なにやってんの」
呆れたように恭一が言う。
体を支えきれなくて、抱きつくようにスーツを両手で掴んでしまった。
「ご、ごめん、、、頭がふわふわするから、しっかりさせたくて頭を振ったら、目が回っちゃって、、、。どうしよう。立てない」