俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
その近すぎる距離に不快感を感じながら彼の顔を見上げるように上を向く。
「一筆書きますか?」
「…………口止め料払わないとね」
見上げた先を遮るように黒い影が近づいて、そのきれいな顔がボヤけた時、唇に温かい何かがぶつかって、リップ音と共に離れた。
「クククッ。目くらい閉じろよ」
右手の甲で思わず唇を拭く。
「ハハハッ。拭かれるなんて初めてだな」
こちらはキスも初めてですが?
目元に力を入れて、睨むように見上げる。
「いつも、こんな事してるんですか?」
「ハハッまさか。そんな安売りはしないよ」
「そのわりには手慣れてますね」
「そう?こんな近場で手を出すなんてしたことないけどな」
「…………口止め料ですか、、、」
「笠原さんにはならないみたいだな?おもしれぇ。だけど、嫌がらせにはなった?」
「…………悪趣味ですね」