俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
指示機を出して車線変更に入る。
私の家はこの道を真っ直ぐなはず。
強引で横暴な対応に素早く反応できず、あたふた慌てることしかできない。

「ど、何処に行くんですか?」

「俺んち」

「嫌です。駄目ですっ。無理ですーっ」

一人車で喚いているうちに、車が何処かの駐車場へ入った。
定時後に上がってきたところだからまだそんなに暗くなってない。
恭一の表情がよく見える。
不機嫌そうにこちらを一別し、口を開いた。

「選べよ。着替えが欲しいか、欲しくないか、だ。拒否権はないんだよ」

恭一から伸びてきた手が頬を撫でる。
言われてることは理不尽でしかないはずなのに、なんでこんなに優しく触れるんだろう。


「…………っ、で、、、でも」


戸惑いを隠しきれず目を泳がせてしまう。
ゆっくりと頬を撫でていた恭一の左手が頬から耳に移り、そのまま髪を掻き分けて後頭部を掴まれたと思ったら、頭を引き寄せられて、口を塞がれた。

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