俺様御曹司による地味子の正しい口説き方


コンパクトになっている狭い車内は、あっという間に恭一との距離をなくし、噛みつかれるようないつものキスとは違い、しっとり濡れるようなキスだった。

恭一の唇の感触が私の唇に残る。
唇が離れた今でも、まだ触れているようだ。

視線を感じる。
熱をはらんだその瞳に堪えきれなくて目線を上げることが出来ない。
手はまだ頭を抱えられていて逃げることも出来なかった。
心臓の音が煩い。

下から覗き込むように恭一が体を動かし、目の前に恭一の顔が。
思わず、ビクリと体が揺れる。


「………………怖いか?」


………………怖い?
そりゃ怖い。
だけど、違うんだ。
なんてゆうか、恥ずかしくて、ドキドキしすぎて、こんな感情知らない。
恭一といると、分からないことだらけだ。
何も言うことができず、何て言って良いのかも分からない。

視線を外すことも出来ずに、この渦巻く感情を吐き出すことも出来なかった。
じわりと目尻が濡れる。


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