俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「━━━ちょっと待ってろ」
そう言って出ていった後ろ姿を見送って、視線をピザに戻す。
美味しそうだなぁ……。
さっきはかなり眠たかったけど、お風呂のお陰て少しは目が覚めた。
眠たいのは眠たいけれど。
お行儀悪いけど、一枚だけね。
先程恭一が落としたピザを手に取り、もう一度ふーふー埃を吹き払って、パクリと口にいれる。
美味しい!
なんだか急にお腹がすいてきた。
恭一は何処へ行ったんだろう。
これ、食べても良いのかな?
「杏、こっち」
声を駆けられて、見てみるとドライヤーをもった恭一が手招きしている。
良かったのに。
「ありがとうございます」
お礼を言って受け取ろうと手を伸ばしてみても、あれ?ドライヤー下さいな?
手渡してくれず、伸ばした手を引き寄せられてソファーへ座らされた。
「座ってろ」